2011年 01月 18日
2、福岡の地域に根ざした街づくり。個別価値から集合価値へ |
従来であれば、マンションの価値は一つ一つのマンション“個別”の価値で表された。
それは最新の設備機器であり、豪華な共用施設である。
しかし、新しいものは古び、
豪華な施設は維持費もかかり使われなくなるものも少なくない。
時間を経るごとに価値が上がるものがあるだろうか、
あれば、個人の長期にわたる不動産の資産形成にとっても吉報である。
それは、街や通りを単位に“集合”した価値だろう。
そうした観点から福岡の街に根ざし街づくりを行ってきたのが福永博建築研究所だ。
事務所も入る「シャトレけやき通り」(1983 年設計)
のある福岡市のけやき通りは、
今ではけやきの大木が並木となり、福岡でも自慢の通りの一つである。
しかし、バブル崩壊後はテナントショップが相次いで撤退、
通りは急速にさびれていった。
そこで、危機感を募らせたビルオーナーや街の人々があつまり
「けやき通り発展期成会」を設立。
研究所では期成会の事務局もつとめ、魅力のある通りにすべく知恵を絞った。
はじめに行ったことは、通りを歩いて楽しめるように2m以下の歩道を拡幅し、
オーストラリア・パースから持ってきたレンガを交差点の歩道部分に引き詰めたことだ。
次に英国からプランターボックスを取り寄せ設置、花を植え、
幹と枝をライトアップして夜でも明るくなるようにした。
そして、最も注意したのが外壁の色である。
それまでの外壁の色というと茶色が主流で福岡の街にそぐわなかった。
地域の風土を調査した結果、ベージュ色、風化した花崗岩のまさ土色を選び、
オリジナルタイル「シャトレタイル」を作製。
これが賛同を得、通りの多くのマンションで使われるようになる。
今では名古屋モザイクタイルのカタログにも掲載されているくらいである。
美しい街と評判になり店舗も戻り、今では「空きが無いか」を訊ねられるまでになった。
個々の建物も大切だが、
通り全体の美観を守ることが自分たちの資産を守ることにつながった事例である。
もうひとつの事例が、けやき通りと並び福岡を代表する通りである浄水通りである。
福岡市の植物園と動物園に面し市民に愛された通りであるが、
動物園前の広場に面した土地は異なる地権者により所有されていた。
放っておけば、各自好きなような建物により通りの一体感も損ねかねない。
またマンションにより風致地区の緑が分断される可能性もある。
そこでテーマを①街をベージュの色で揃える、
②オープンなスペースを設ける、③広場をつくるの3 つに絞り、
異なるオーナーを10 年がかりで説得して
「ガーデンヒルズ浄水ⅠⅡⅢ」(1991 年-1992 年)として実現した。
その際、屋上緑化によりコンクリートの地肌が出ないように
周囲の緑との調和を残し風致地区の景観も守った。
世界的に美しいとされる街は、
パリのナポレオン三世のように一人の絶対的な権力でつくられたものが少なくない。
しかし、民主化された現代では壊して建て替える式の街づくりは現実的ではない。
むしろ、民主的な対話の中で地権者が自発的に調和を目指すような
テーマづくりによる街づくりがよい。
自然な誘導で時間をかけて小さな積み重ねを続けることで
世界に通じるレベルの街づくりができる実例だといえよう。
それは最新の設備機器であり、豪華な共用施設である。
しかし、新しいものは古び、
豪華な施設は維持費もかかり使われなくなるものも少なくない。
時間を経るごとに価値が上がるものがあるだろうか、
あれば、個人の長期にわたる不動産の資産形成にとっても吉報である。
それは、街や通りを単位に“集合”した価値だろう。
そうした観点から福岡の街に根ざし街づくりを行ってきたのが福永博建築研究所だ。
事務所も入る「シャトレけやき通り」(1983 年設計)
のある福岡市のけやき通りは、
今ではけやきの大木が並木となり、福岡でも自慢の通りの一つである。
しかし、バブル崩壊後はテナントショップが相次いで撤退、
通りは急速にさびれていった。
そこで、危機感を募らせたビルオーナーや街の人々があつまり
「けやき通り発展期成会」を設立。
研究所では期成会の事務局もつとめ、魅力のある通りにすべく知恵を絞った。
はじめに行ったことは、通りを歩いて楽しめるように2m以下の歩道を拡幅し、
オーストラリア・パースから持ってきたレンガを交差点の歩道部分に引き詰めたことだ。
次に英国からプランターボックスを取り寄せ設置、花を植え、
幹と枝をライトアップして夜でも明るくなるようにした。
そして、最も注意したのが外壁の色である。
それまでの外壁の色というと茶色が主流で福岡の街にそぐわなかった。
地域の風土を調査した結果、ベージュ色、風化した花崗岩のまさ土色を選び、
オリジナルタイル「シャトレタイル」を作製。
これが賛同を得、通りの多くのマンションで使われるようになる。
今では名古屋モザイクタイルのカタログにも掲載されているくらいである。
美しい街と評判になり店舗も戻り、今では「空きが無いか」を訊ねられるまでになった。
個々の建物も大切だが、
通り全体の美観を守ることが自分たちの資産を守ることにつながった事例である。
もうひとつの事例が、けやき通りと並び福岡を代表する通りである浄水通りである。
福岡市の植物園と動物園に面し市民に愛された通りであるが、
動物園前の広場に面した土地は異なる地権者により所有されていた。
放っておけば、各自好きなような建物により通りの一体感も損ねかねない。
またマンションにより風致地区の緑が分断される可能性もある。
そこでテーマを①街をベージュの色で揃える、
②オープンなスペースを設ける、③広場をつくるの3 つに絞り、
異なるオーナーを10 年がかりで説得して
「ガーデンヒルズ浄水ⅠⅡⅢ」(1991 年-1992 年)として実現した。
その際、屋上緑化によりコンクリートの地肌が出ないように
周囲の緑との調和を残し風致地区の景観も守った。
世界的に美しいとされる街は、
パリのナポレオン三世のように一人の絶対的な権力でつくられたものが少なくない。
しかし、民主化された現代では壊して建て替える式の街づくりは現実的ではない。
むしろ、民主的な対話の中で地権者が自発的に調和を目指すような
テーマづくりによる街づくりがよい。
自然な誘導で時間をかけて小さな積み重ねを続けることで
世界に通じるレベルの街づくりができる実例だといえよう。
by 300nen
| 2011-01-18 19:54
| Ⅰ先導的モデル事業広報